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折口信夫著「死者の書」と牽牛子塚古墳・中将姫のことなど [雑感]

先日、「死者の書」を読了した。
藤原郎女(中将姫)と、悲劇の死を遂げた大津皇子の幻影との魂の交流を描いた深遠な作品。

…とまあ、私の文章力ではなんとも陳腐な表現になってしまう。

実は、中将姫というのは当麻寺にゆかりのある、伝説上の人物なのだが、今までどうもその人となりがうまく掴めなかった。
千巻の写経を行い、蓮糸で曼荼羅を織り上げたという信仰心の厚い女性であることはわかるものの、
なんだか分厚いガラスの向こうに佇んでいるような掴み所のなさを感じていた。
「死者の書」の郎女=中将姫は、大津皇子の執心によって二上山へ引き寄せられ、そこで大津皇子の幻影を見る。
裸体である彼を覆うものをと切望して、蓮糸で曼荼羅を織りあげる。
幻影と郎女の儚くも美しい魂の交流は、高貴であり、かつ官能的でもある。
そして、彼女を支え導く媼や尼たちの姿、ひたぶるに俤人=大津皇子を想う郎女の心根のすがすがしさよ。

折口の紡ぐ美しい日本語に導かれ、心と体をもつ、ひとりの女性としての中将姫が私の心に宿った気がする。

折しも、大津皇子の母、大田皇女の墓所ではないかと推測される古墳の発掘がなされている、とニュースで取り上げられた。
牽牛子塚古墳がそうであるという。
機会があれば、一度尋ねてみたいと想う。
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